ベトナムで働く日本人にとって、適切なビザと労働許可証の取得は必須です。赴任準備ガイドでも触れていますが、このガイドではビザの種類から労働許可証の申請・更新まで、必要な手続きを詳しく解説します。
ベトナムのビザの種類
観光ビザ(DL)
観光目的での短期滞在に使用されるビザです。就労は一切認められていません。
- 有効期限: 1ヶ月または3ヶ月
- 費用: 25-50米ドル
- 注意点: 就労目的での使用は違法
商用ビザ(DN)
商談、会議、市場調査などの商用目的で使用されるビザです。
- 有効期限: 1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年
- 費用: 25-135米ドル(期間により変動)
- マルチプルエントリー: 可能
就労ビザ(LD)
ベトナムで就労する外国人専用のビザです。労働許可証取得の前提条件となります。
- 有効期限: 1年または2年
- 費用: 135-270米ドル
- 必要書類: 雇用契約書、健康診断書など
一時在住カード(TRC)
長期滞在者向けのカードで、ビザの代替として機能します。
- 有効期限: 1-5年
- 費用: 約200万ドン(約1万2,000円)
- メリット: 出入国が自由、ビザ更新不要
労働許可証の基礎知識
労働許可証とは
ベトナムで外国人が合法的に就労するために必要な許可証です。2020年の労働法改正により、取得要件が厳格化されました。
取得対象者
以下の条件を満たす外国人が対象です:
- 18歳以上であること
- 健康で労働能力があること
- 犯罪歴がないこと
- 専門技能または大学卒業以上の学歴があること
免除対象者
以下の場合は労働許可証が免除されます:
- ベトナム人の配偶者
- 3ヶ月以下の短期専門業務
- 政府間協定に基づく駐在員
労働許可証申請の必要書類
日本で準備する書類
1. 犯罪経歴証明書
- 発行機関: 各都道府県警察本部
- 有効期限: 発行から6ヶ月以内
- 費用: 無料
- 処理期間: 2-4週間
2. 健康診断書
- 指定医療機関で受診
- 有効期限: 発行から6ヶ月以内
- 費用: 1-3万円
- 必要検査: 胸部X線、血液検査、尿検査など
3. 学歴証明書
- 卒業証明書または学位記
- 文部科学省での認証が必要
- 費用: 約3,000円
4. 職歴証明書
- 前職の在職証明書
- 業務内容の詳細記載が必要
- 英語またはベトナム語翻訳要
ベトナムで準備する書類
1. 労働契約書
- 雇用主との正式契約
- ベトナム語版が必要
2. 申請書(Form 11/PLI)
- DOLISA(労働・傷病兵・社会問題局)指定様式
- オンラインでも入手可能
3. パスポートコピー
- 全ページのカラーコピー
- 公証が必要
労働許可証申請手順
ステップ1: 書類準備(日本)
- 犯罪経歴証明書の申請
- 健康診断の受診
- 学歴・職歴証明書の取得
- 外務省での認証手続き
ステップ2: ベトナム領事館での認証
在日ベトナム領事館
- 東京: 〒151-0062 東京都渋谷区元代々木町1-1-23
- 大阪: 〒590-0952 大阪府堺市堺区市之町東4-2-15
- 福岡: 4F, Aqua Hakata, 5-3-8 Nakasu, Hakata-ku, Fukuoka
認証費用: 書類1通あたり1,500-3,000円 処理期間: 3-5営業日
ステップ3: ベトナムでの申請手続き
1. DOLISAへの申請
- 場所: ホーチミン市人民委員会労働・傷病兵・社会問題局
- 住所: 159 Pasteur St, District 3, Ho Chi Minh City
- 営業時間: 月-金 7:30-11:30, 13:00-17:00
2. 申請の流れ
- 書類一式をDOLISAに提出
- 受理証明書の受け取り
- 審査期間の待機(15営業日)
- 労働許可証の受け取り
3. 申請費用
- 申請手数料: 100万ドン(約6,000円)
- 許可証発行料: 20万ドン(約1,200円)
ステップ4: 結果通知と受け取り
審査完了後、DOLISAから連絡があります。本人が直接受け取りに行く必要があります。
労働許可証の更新手続き
更新タイミング
- 有効期限の30日前から更新申請可能
- 期限切れ後の就労は違法行為となるため注意
更新に必要な書類
- 現在の労働許可証
- 更新申請書
- 新しい健康診断書
- 継続雇用証明書
- パスポートコピー
更新手順
-
書類準備 (更新30日前)
- 健康診断の受診
- 雇用主からの継続雇用証明書取得
-
DOLISAへの申請
- 更新申請書の提出
- 現在の労働許可証の返納
-
審査期間
- 通常10-15営業日
- この間は仮許可証で就労可能
-
新しい労働許可証の受け取り
- 本人による直接受け取りが必要
更新費用
- 更新手数料: 50万ドン(約3,000円)
- 健康診断料: 50-100万ドン(約3,000-6,000円)
ビザと労働許可証の関係
就労ビザ(LD)の取得
労働許可証を取得した後、就労ビザへの変更が必要です。
必要書類:
- 労働許可証原本
- パスポート
- 証明写真
- 申請書
手続き場所: ベトナム出入国管理局(各都市)
費用: 約135米ドル
一時在住カード(TRC)への変更
長期滞在を予定している場合は、TRCの取得を検討しましょう。
メリット:
- 出入国が自由
- ビザ更新の手間が不要
- 銀行口座開設が容易
申請条件:
- 有効な労働許可証の保有
- 継続的な雇用契約
注意事項とトラブル対処法
よくある問題と対処法
1. 書類の不備
- 対処法: 事前にDOLISAで必要書類リストを確認
- 予防策: 書類の有効期限を常にチェック
2. 審査期間の延長
- 対処法: 定期的にDOLISAに進捗確認
- 予防策: 余裕を持った申請スケジュール
3. 雇用主の変更
- 対処法: 新しい雇用主で新規申請
- 注意点: 無職期間中の就労は違法
専門機関への相談
ベトナム日本商工会議所
- 住所: 14th Floor, Sun Wah Tower, 115 Nguyen Hue Street, District 1
- 電話: (028) 3823-6761
- サービス: 労働許可証申請サポート
法律事務所 労働法に詳しいベトナム現地の法律事務所への相談も有効です。
申請代行サービスの活用
自力申請 vs 代行サービス
労働許可証の申請は自力でも可能ですが、多くの日本人駐在員は雇用主や代行業者を通じて手続きを行っています。
自力申請のメリット
- 費用を抑えられる(申請手数料のみ120万ドン)
- 手続きの全体像を把握できる
代行サービスのメリット
- ベトナム語の書類作成をすべて任せられる
- DOLISAとのやりとりを代行してくれる
- 書類不備による再申請リスクが低い
- 費用目安: 500〜1,500万ドン(約3〜9万円)
雇用先の会社が手続きを代行してくれるケースが最も一般的です。入社前に「労働許可証の取得サポートはあるか」を必ず確認しましょう。
申請スケジュールの目安
全体の所要期間を把握しておくことが重要です。
| ステップ | 所要期間 | 備考 |
|---|---|---|
| 犯罪経歴証明書の取得 | 2〜4週間 | 各都道府県警察本部 |
| 健康診断 | 1〜2日 | 結果受取は1週間程度 |
| 学歴・職歴証明書の準備 | 1〜2週間 | 翻訳・公証含む |
| 外務省認証 | 3〜5営業日 | アポスティーユ |
| ベトナム領事館認証 | 3〜5営業日 | |
| DOLISAでの審査 | 15営業日 | 約3週間 |
| 合計 | 約2〜3ヶ月 | 余裕を持って準備 |
赴任日が決まっている場合は、3ヶ月前から準備を開始することをおすすめします。
よくある失敗パターンと対策
1. 書類の有効期限切れ
犯罪経歴証明書と健康診断書の有効期限は発行から6ヶ月です。準備が長引いて期限切れになり、再取得が必要になるケースが最も多い失敗パターンです。
対策: 犯罪経歴証明書が最も時間がかかるため、最初に取得を開始し、健康診断は渡航直前に受診するのが効率的です。
2. 職歴証明の不備
DOLISA は「申請する職種に関連した実務経験」を求めます。たとえば「マネージャー」として申請する場合、前職で管理職経験があることを証明する必要があります。
対策: 職歴証明書には具体的な業務内容・役職を詳細に記載してもらい、申請する職種との関連性を明確にしましょう。
3. 学歴要件の未達
大学卒業以上の学歴が原則必要です。専門学校卒の場合は、5年以上の実務経験で代替できる場合がありますが、審査が厳しくなる傾向があります。
対策: 学歴要件を満たさない場合は、事前に雇用主や代行業者を通じてDOLISAに確認しましょう。
よく使うベトナム語フレーズ
- 「Tôi muốn gia hạn visa」(ビザを更新したいです)
- 「Giấy phép lao động ở đâu?」(労働許可証はどこで申請できますか?)
- 「Hồ sơ cần những gì?」(必要な書類は何ですか?)
- 「Mất bao lâu để được chấp thuận?」(承認までどのくらいかかりますか?)
- 「Tôi làm việc cho công ty Nhật Bản」(私は日本の会社に勤めています)
窓口での手続き時に伝わりにくい場合は、Google翻訳アプリの画面を見せながら話すとスムーズです。
まとめ
ベトナムでの就労には適切なビザと労働許可証の取得が不可欠です。手続きは複雑ですが、この ガイドに沿って準備を進めれば、スムーズに取得できるでしょう。
重要なポイント:
- 日本での書類準備は時間がかかるため、早めに開始
- 労働許可証の有効期限は常に把握しておく
- 転職時は新たな手続きが必要
- 専門機関のサポートを活用する
適切な手続きを行い、安心してベトナムでの勤務生活を送りましょう。ビザ取得後は銀行口座の開設も進めてください。不明な点があれば、DOLISAや日本商工会議所に相談することをお勧めします。
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